屈斜路コタンのイチャルパ・9
2007年11月10日(土) 晴れ のち くもり
<イチャルパ>の準備として、まずは女性たちが動き始めた。
午前中、中心的役割を果たすお姉さまがたが買い物に行ってくれ、午後は<sito>団子作り。
お供え用の丸い団子とドーナツ状の団子。ドーナツ状の団子は串に通して炉端に掲げるものだ。
よく「耳たぶくらいの…」という表現をする。量が多い場合のかたさ加減というか柔らかさ加減というのは難しいようだが、そこはベテラン揃い。
「こんなもんでいいんでないかい?」
「あっ、いいんでしょ」
ってなもんである。
なんでもやわらか過ぎると掲げた串からボタボタと下に落ちてしまうそうで。
「へえ、そうなんだ」
「経験してますから」
「あっ…………(汗)」
実際に掲げる数は偶数がいいということなので、12個ずつ2串分と味見用として+アルファ。
形作ったら熱湯で茹で上げ、冷水にさらしてできあがり。まんべんなく乾かすように並べておく。きょうはここまで。
明日は本祭り前日。
朝から男性たちは<イナウ>木幣などの祭具を調え、女性たちはお供えをこしらえるのだ。
ところで、サブ的役割を果たす身としては午前中、何をしていたかというと−
ちょっと山へ…。
この時期、採集狩猟民族にとっては大切な<sikerpe シケレペ>を採取せねばならんのである。

キハダとかシコロと呼ばれる木になる実で、生で食べたり干して保存しておき料理に使ったり、さらには薬にもなるすぐれものだ。
キハダという名の通り、樹皮の内側が黄色で胃痛を感じたら生のまま噛んだり皮を煎じて飲んだりする。
風邪をひいたときには実を煮詰めたものを飲む。
確かに効くらしい。効くらしいけど、これがあーた!身体がどってん(=ビックリ)するから治るってことなんじゃないかい?っちゅーくらい、苦いんである。だいたい煮詰めている段階の匂いからして苦い。しかも二番煎じどころか三番煎じくらいでなんとか飲めるかなあ、っちゅーくらい苦い。
そうは言っても「効くらしい」と表現するくらいだから、おわかりだろう。<Kussharo Factory>のスタッフはデリケートな身体を持つ人間ばかりなので、バチ当たりといわれようと(誰も言わんがな)摂取には消極的なのである。
そう、今、この時代にも活用されているのだ。
うすーく煮立ててシケレペ茶っていうテもあるらしい。興味のある方はぜひお試しを。
今回は屈斜路コタンの<イチャルパ>に参加すべく、お忙しい中、仕事を休んでお越しくださったご夫妻を案内かたがた労働力として。
「幕末に松浦武四郎が元札内付近を通った際、チセ(住居)がこの樹皮でふかれていたという記録がある」
(帯広百年記念館編集・発行:「アイヌ語で自然かんさつ図鑑」より)
ご夫妻には<シケレペ>採りをご満足いただいたようで、「お礼に<penup ペヌプ>イケマが採れるとっておきの場所を教えましょう」ということで案内してくれた…あれ? それでいいのか? 逆なんでないかい?
<ペヌプ>の根は魔よけになるといわれている。ひもに通してネックレスのようにして首から掛けたりする。そういえば<モウル>女性用下着の襟元にも付いていたのを見たことがあるような…。傷の痛みをとることにも利用されたとか。
実際に採ったことがないので、どんなものかもわからない。なんでも、ツル性の植物だからわかると思うんですよね、その根っこをたどっていけば…とのことだったが季節はもはや初冬。ツルも枯れていてなにがなんだかわかんないぞ。
それでもご夫妻は「これじゃないかなあ」といいながら手で土を掘る。
浅いところに横たわって伸びている根らしい。「あっ、あったあった。やっぱりこの根で良かったんだ」

どれどれ? ふーん、こういう根なんだな。だったらコレじゃないの…と掘ってみたら当たった。
よし、もうわかったぞ。
「コレもそうだ」「あっ、コレもだよ、きっと」。採集狩猟民族の面目躍如。ふっふっふっ。
わずかな時間で山の恵みを堪能。天気もいいし、まだ時間もあるからちょっとドライブしよっかということで、まずは<キムン・トー>へ。
きょうもほかの人がおらず、静かな時が流れている空間だった。
続いて<yuk>エゾシカのぬた場へ。

自分の糞尿でドロドロになった場所で、なぜかのた打ち回る獣の習性。直後のエゾシカには抱きつかれたくないもんだ。
それにしても<Kussharo Factory>のスタッフが案内する場所ってのは、こんなんばっかりである。
さて!
本日も判明したことがひとつ。
7日のブログに書いた<オプタテシケ>通称コタン山の名前の由来である。<オプ>とは槍のことだから「槍のような山ってところじゃないかい?」などと曖昧なことを記したが、やっぱり違った。だってねえ、とんがってないもん、山の形が…って、おいおい。
この命名には、ダイナミックな(?)話があったんである。
<カムイ・ヌプリ>神の・山=摩周岳の子が<トーエクトウシペ>湖の奥にある山=藻琴山なのだが、こいつがひどい暴れん坊だったらしい。周囲の山の神やアイヌは困ってあれやこれやと相談していた。そのときに湖の落ち口近くにいた<ピンネシリ>雄山が提案した。
「オレがトーエクトウシペに槍を投げる。ヤツはその槍をよけるに違いないからそれを親であるカムイヌプリが受け止めろ。そして腹を立てたふりをして千島へと去るんだ。そして二度と会わないように」
そして作戦は実行され成功。トーエクトウシペはその後、すっかりおとなしくなったという。ちゃんちゃん!
つまり<ピンネシリ>がその後、「槍のそれた山」という意味で<オプタテシケ>と呼ばれるようになったそうな。
…すみません。そういうことで。
<イチャルパ>の準備として、まずは女性たちが動き始めた。
午前中、中心的役割を果たすお姉さまがたが買い物に行ってくれ、午後は<sito>団子作り。
お供え用の丸い団子とドーナツ状の団子。ドーナツ状の団子は串に通して炉端に掲げるものだ。
よく「耳たぶくらいの…」という表現をする。量が多い場合のかたさ加減というか柔らかさ加減というのは難しいようだが、そこはベテラン揃い。
「こんなもんでいいんでないかい?」
「あっ、いいんでしょ」
ってなもんである。
なんでもやわらか過ぎると掲げた串からボタボタと下に落ちてしまうそうで。
「へえ、そうなんだ」
「経験してますから」
「あっ…………(汗)」
実際に掲げる数は偶数がいいということなので、12個ずつ2串分と味見用として+アルファ。
形作ったら熱湯で茹で上げ、冷水にさらしてできあがり。まんべんなく乾かすように並べておく。きょうはここまで。
明日は本祭り前日。
朝から男性たちは<イナウ>木幣などの祭具を調え、女性たちはお供えをこしらえるのだ。
ところで、サブ的役割を果たす身としては午前中、何をしていたかというと−
ちょっと山へ…。
この時期、採集狩猟民族にとっては大切な<sikerpe シケレペ>を採取せねばならんのである。

キハダとかシコロと呼ばれる木になる実で、生で食べたり干して保存しておき料理に使ったり、さらには薬にもなるすぐれものだ。
キハダという名の通り、樹皮の内側が黄色で胃痛を感じたら生のまま噛んだり皮を煎じて飲んだりする。
風邪をひいたときには実を煮詰めたものを飲む。
確かに効くらしい。効くらしいけど、これがあーた!身体がどってん(=ビックリ)するから治るってことなんじゃないかい?っちゅーくらい、苦いんである。だいたい煮詰めている段階の匂いからして苦い。しかも二番煎じどころか三番煎じくらいでなんとか飲めるかなあ、っちゅーくらい苦い。
そうは言っても「効くらしい」と表現するくらいだから、おわかりだろう。<Kussharo Factory>のスタッフはデリケートな身体を持つ人間ばかりなので、バチ当たりといわれようと(誰も言わんがな)摂取には消極的なのである。
そう、今、この時代にも活用されているのだ。
うすーく煮立ててシケレペ茶っていうテもあるらしい。興味のある方はぜひお試しを。
今回は屈斜路コタンの<イチャルパ>に参加すべく、お忙しい中、仕事を休んでお越しくださったご夫妻を案内かたがた労働力として。
「幕末に松浦武四郎が元札内付近を通った際、チセ(住居)がこの樹皮でふかれていたという記録がある」
(帯広百年記念館編集・発行:「アイヌ語で自然かんさつ図鑑」より)
ご夫妻には<シケレペ>採りをご満足いただいたようで、「お礼に<penup ペヌプ>イケマが採れるとっておきの場所を教えましょう」ということで案内してくれた…あれ? それでいいのか? 逆なんでないかい?
<ペヌプ>の根は魔よけになるといわれている。ひもに通してネックレスのようにして首から掛けたりする。そういえば<モウル>女性用下着の襟元にも付いていたのを見たことがあるような…。傷の痛みをとることにも利用されたとか。
実際に採ったことがないので、どんなものかもわからない。なんでも、ツル性の植物だからわかると思うんですよね、その根っこをたどっていけば…とのことだったが季節はもはや初冬。ツルも枯れていてなにがなんだかわかんないぞ。
それでもご夫妻は「これじゃないかなあ」といいながら手で土を掘る。
浅いところに横たわって伸びている根らしい。「あっ、あったあった。やっぱりこの根で良かったんだ」

どれどれ? ふーん、こういう根なんだな。だったらコレじゃないの…と掘ってみたら当たった。
よし、もうわかったぞ。
「コレもそうだ」「あっ、コレもだよ、きっと」。採集狩猟民族の面目躍如。ふっふっふっ。
わずかな時間で山の恵みを堪能。天気もいいし、まだ時間もあるからちょっとドライブしよっかということで、まずは<キムン・トー>へ。
きょうもほかの人がおらず、静かな時が流れている空間だった。
続いて<yuk>エゾシカのぬた場へ。

自分の糞尿でドロドロになった場所で、なぜかのた打ち回る獣の習性。直後のエゾシカには抱きつかれたくないもんだ。
それにしても<Kussharo Factory>のスタッフが案内する場所ってのは、こんなんばっかりである。
さて!
本日も判明したことがひとつ。
7日のブログに書いた<オプタテシケ>通称コタン山の名前の由来である。<オプ>とは槍のことだから「槍のような山ってところじゃないかい?」などと曖昧なことを記したが、やっぱり違った。だってねえ、とんがってないもん、山の形が…って、おいおい。
この命名には、ダイナミックな(?)話があったんである。
<カムイ・ヌプリ>神の・山=摩周岳の子が<トーエクトウシペ>湖の奥にある山=藻琴山なのだが、こいつがひどい暴れん坊だったらしい。周囲の山の神やアイヌは困ってあれやこれやと相談していた。そのときに湖の落ち口近くにいた<ピンネシリ>雄山が提案した。
「オレがトーエクトウシペに槍を投げる。ヤツはその槍をよけるに違いないからそれを親であるカムイヌプリが受け止めろ。そして腹を立てたふりをして千島へと去るんだ。そして二度と会わないように」
そして作戦は実行され成功。トーエクトウシペはその後、すっかりおとなしくなったという。ちゃんちゃん!
つまり<ピンネシリ>がその後、「槍のそれた山」という意味で<オプタテシケ>と呼ばれるようになったそうな。
…すみません。そういうことで。
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