2008-08

屈斜路コタンのイチャルパ・1

2007年11月1日(木) くもり

観光業や農業を基幹としているこの周辺は、雪が融ける4月中旬、5月のゴールデンウィークから10月までがシーズン=繁忙期として住民の体内時計に組み込まれている。この期間だけの季節雇用者も多く、観光施設は冬季休業に入ったり、田畑も収穫が終われば、またたく間に人の動きがなくなり、閑散とした風景だけが広がっている。

これから雪が降るまでの残されたわずかな時間に、やらねばならぬことが山のようにある(山のように、だぞ。山に…じゃないぞ)。
が、その前に、屈斜路コタンでは大切な儀式が控えているのだ。
先祖供養祭<イチャルパ>である。

明治時代に、民族独自の言語であるアイヌ語の使用や生活様式、伝統儀式など一切を禁止されたゆえの溝はあまりにも深く、大きくなりすぎて、ここ屈斜路コタンで<イチャルパ>が復活したのはつい14年ほど前のことだ。

ほかの地区では文化の保存、継承活動に力を入れていて一年間に複数の行事・儀式を行っているところもあるが、屈斜路コタンではだんだん人数が少なくなっていることや日々の仕事・暮らしとの兼ね合いから年に一回のこの<イチャルパ>が精一杯である。
それだけに10月にもなると、「今年のイチャルパは…」といった会話を交わす機会も多くなる。

先日、屈斜路コタンの<イチャルパ>を改めて見つめなおしてみようということで集まりがあった。
今回は第1回目の<イチャルパ>から祭主を務めていただいていた<エカシ>長老が配偶者を亡くされたため参加できなくなり、祭主をほかの方にお願いしたのだ。

その方から、「<イチャルパ>とは、長年にわたり歴史を培ってきたこの地の先祖に感謝を捧げる非常に大切な儀式であり、<カムイノミ>神々への祈りをいいかげんに行ったら、その儀式に参加した全員に災いが起こるといわれるくらい。だからこそ真剣にやらなければならず、参加する皆さんと思いを一緒にしておきたい」という呼びかけがあったのである。

いまは亡き日川善次郎エカシ、山本多助エカシ、萱野茂氏などから教えを受けた氏は、「地域性も影響しているだろうが、エカシによって儀式の執り行い方が違う」こと、「知る限り統一性は見当たらない」ことなどを話してくれた。そして「いつかは手引書みたいなものを確立させたいと願っている」という思いを抱いているとも。

今回は氏が各々のエカシから学び、感じ取った部分的なものを融合したスタイルになることを理解しあった。
気が引き締まる。

<イチャルパ>をはじめ、アイヌ民族の精神や文化を、文字だけで伝えることはかなり難しい。それを承知のうえで、何日かにわけて屈斜路コタンの<イチャルパ>のようすを書き記していきたいと思う。
もし、ほかの地区の<イチャルパ>のことでも何かご存知の方は教えてください。

そんなときにこんな記事。
北海道新聞 11月1日付 朝刊
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/politics/58122.html
悪かったな!(怒)


テーマ:北海道/道東 - ジャンル:地域情報

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